土曜日の夜。日曜日を完全休日にすべく、月曜朝イチ〆の仕事を自宅PCで完成させ、会社のメールに送り終えた私はそそくさと

山行きの準備を始めた。何といっても先日購入したワカンデビューに初の比良山行きを楽しみにしていたのだ！

ワクワクしながらワカンをザックに着けたその時。

『お父ちゃん！私も明日行くワ、お・や・ま』

人が仕事中に缶チューハイをグビグビさせていた鬼ヨメの突然の宣言に凍りつく！初の比良に鬼ヨメ連れてけるワケが無い。

酔った勢いで私の１週間暖めたプランを台無しにさせるワケには行かないぞっ！

『うん？明日か？寒っぶいぞーきっと吹雪いてるし、明日は止めた方がエエぞ』
『あ。今メーワクそうな顔したやろ？何なん？私が行ったらマズイ事でもあるのん？女の人と待ち合わせてるとか』
　来た来た！こーゆー時は相手にしない。無視無視。
『ま、お父ちゃんみたいな異常性発汗体質のクッサイおっちゃん相手にするヒトおらんやろけど〜』
　無視無視・・・って誰が異常性発汗で、誰がクッサイおっちゃんやねん！
『んじゃ、明日は、みょーじんでムヒョーで、うどんで温泉って事でぇ〜お休みぃ』
　おいおい行き先まで決められちゃったよー！ま、どうせ起きてこないだろうから予定通り比良でワカンデビューだ！

　09時45分：大又林道終点着

鬼ヨメは予想に反して6時きっかりに目覚めると『お父ちゃん今日は明神平行くねんな？』私のプランはこの時点で終わった。

二週続けての明神平何てノリ気じゃなかったが吉野へ一歩入り込み山が見え始めると

『ま、山に行けるだけハッピーじゃやないか！』と気持ちも切り替わる。

突然現れる霧氷

橋の崩落ポイントでは先週よりも積雪で安全だった。鬼ヨメも意外とすんなり渡って来る。

この辺りから凍結ではなく、完全な雪道（20センチくらいか?)となりサクサク歩くことができる。

『お父ちゃん、もう凍ってないし、アイゼン要らんワ。これ重いし歩きにくいワ』
　我がままなやっちゃなー着けて登れよ！

再び雪の上に跪きアイゼンを外しながら

『あぁ私はこんな所でこんなカッコで何をしてるんだ！ワカンはどうなった！比良はどっちだ？』

11時50分：あしび山荘

先週からたった１週間でこの雪景色だ！

予想通り明神平は銀世界だった・・・そして強風に声も出ない！

 さーっ着いたぞ！ザック降ろして歩こう！と

『さーっうどん、うどん、早よ食べよ』

仕方ない、先ずは食べさせないと始まらない。

いつものように私が食事の準備だ。

確かに鬼ヨメの顔色は真っ白。そう言えば食事中もずっと足踏み状態だった『今日はもう下るか』うんうん、ただ頷くだけ。 

　薊岳を望む 

『あそこに見えるピークが薊岳、先週登ったところやで』
『えーっあんなところまでぇ？お父ちゃんホンマはすごいんちゃうのん？』
　褒められるほどのことじゃないよぅ・・・ってか（ホンマは）てどう言う意味だ？

13時00分：そうそうに下山開始

下りは雪道が歩きやすいとの意味不明な理由で何故かハイペースだ。

ところが一度滑ってころんで正座で着地！(うぅぅっ)ほらほらアイゼン要らないとか言うから。

途中の沢にエバニューの4本アイゼンが片一方落ちていた。『お父ちゃん、これもアイゼンなん？これやったら軽くて良さげやな』
 

14時15分：林道終点着。今日は鬼ヨメに振り回されっぱなし。

来週こそワカンデビューだ、比良だ！リベンジだ！どうせ今日で懲りてまた冬眠だろう。

『お父ちゃん言うてた山頂にレストハウスある山てどこやった？』
『うん？金剛山のことか？』
『そうそう、今度そこ行こ。あの4本の軽いアイゼンも買ってぇ〜』

　ガーン！こっ懲りてない・・・私のワカンデビューは・・・比良山は・・・。