|
|
|
国道169号線は2月に発生した痛ましい土砂崩れから長期間通行止めとなる
そのため地域の方の生活道路復旧の手段として大台ヶ原ドライブウェイの小処へ分岐するまでの区間を
迂回路としていた。事故の原因追究と完全な復旧を願うものの、このままでは新緑の
大台ヶ原は行けないだろうと覚悟していたが『4月24日15時開通』の記事をネットで確認した
この喜ばしい記事をチェックした私はＧＷに行こうと決めた
10時45分：川上辻
169号をドライブウェイに右折する時、前の5台全てが右折する光景を眼にした
最悪だ・・・先頭車両は観光バス。思ったとおり遅い。仕方ないな
せっかくの晴天、右手に大峰を眺めながらゆっくりドライブとしよう
|
|
|
|
10時過ぎに駐車場に到着するが、すでに入りきれない車が道路に溢れかえっていた。念のため一周するが
1台を留めるスペースもない、そして大きなＴＶ局の中継車が・・・
『あ！お父ちゃん、そうや、ＡＢＣ放送で大台ヶ原映るねん。明日やで、ちゃんと録画予約したからなぁ』
どうやら撮影スタッフらしき人も多く歩いている。
これだけの人が入山したのではハイクどころじゃないだろう。
西大台にしようか？と考えたが、もう少し新緑の頃がいいだろうな
では三津河落山だ！
|
|
|
|
|
|
『お父ちゃん・・・通行止めて書いてあるで』
『去年も言ったぞ、これはな、去年間違えて下った筏場へのコースのこと！橋が落ちてるらしい』
そう去年の8月三津河落山目指した我家は、いつの間にか筏場へ下っていたのだ
地図見ろよなっ！て去年の自分を笑う
（未だ進歩が見えないが・・・）
|
|
|
|
『お父ちゃん、この名前は何なん？名古屋の人が建てたん？』
『建てた？意味が分からん・・・何を建てたんや何を！？』
大台らしい風景が続き、不思議と懐かしささえ抱く。私も短期間でいっぱい歩いたものだな
11時25分：三津河落山
|
|
『前から思ぅてたけどな、へんな名前やな？』
『三重の宮川と吉野川と熊野川やったかな？ 分水嶺になるねんて、三つの河に 落ちるって意味みたいやな』
確かに変わったネーミングだが こうやって由来を知ると面白い この名前を、いつの時代に誰が思いついて どう知れ渡ったのだろう
何て考えながら歩くと山歩きも深くなる。 |
|
|
三津河落山を下り、登り返すと
視界が広がり始め、ネットで散々見ていたあの風景に期待が広がる。そして登りきった目の前には・・・
期待通りの展望に言葉を失う・・・
|
|
『きゃーっ！お父ちゃん、メチャ景色ええなぁ。何で 今までこんなところ連れて来てくれなんだん？』
『何でて・・・だからな。去年の8月にな。 ってもうええやん。黙って景色見てろよ』
晴天、そして無風だ最高のコンディションじゃないか！ この場所も風が強く冬の霧氷は素晴らしい
さぁ大和岳まで行くぞ |
|
『お父ちゃんっ！こんなとこにキレイなトイレあるで？』
『お前な、考えてみ。あるワケないやろ、誰が使うねん 誰が！これはな、無人の雨量観測所やねん』
『さすがお父ちゃん情報だけはいっぱい持ってんねんな』 『そうそう、情報だけはな、っておい、だけって言うなよ 情報って大切やねんでヤマでは』
『これがまた、イザって時に役に立てへんねんなぁ？』 『そうそう、持ってるだけでな、荷物と一緒やねん、ってコラ！』 |
|
誰も居ない笹の中を進み大和岳へ下る
11時55分：大和岳/国見山
大和岳のピークから大峰、大台北部が見渡せる
下ってきた尾根を振り返る
大普賢岳が正面に
|
こんな風景の中で食事が出来るなんて幸せだ ドライブウェイから１時間でこんな世界。大台はいいな
『お父ちゃんゴハンすんだし帰ろうか？』
『お前もったいないやろ？も少し居よう』
『景色はもう充分やろ？することも無いし・・・』
『うーん・・・しりとりでもするか？ シ・カ 』
『・・・帰る』
かわいくないやつめっ！ |
|
|
|
『あそこな・・・ほら、来たコースより下に、ずうっと 横切る踏み跡続いてるやろ？あそこ行ってみよか？』
『うぅぅーんエエけどなぁ、行けるんやろなホンマ？』
『見えてるやろアレ通って向こうの尾根に出てみよう』
疑いの眼差しで私を見る鬼ヨメを追い立てるように進む
|
えんやこらさっさっ～エエ道やんなぁ♪
しかし・・・
|
『うぅぅ・・・お父ちゃん、またウソ付いたやろ 斜め過ぎて歩かれへんやん、段々下ってるしぃ』
確かに踏み跡はあるが傾斜がきつくて歩きにくい アレ？先のほう崩れてるのが見える・・・
『あのな、もう止めよか。このまま直登しよ、直登 お前好きやろ直登』
『ヴぇーっ、何で今更直登すんのん？最低やなぁもう』
今更先が崩壊してる何て言えない・・・ |
|
|
|
|
ひーっもういややーっ
笹を掴んで直登すると、観測所の前で単独の男性が冷ややかな眼で私たちを見ていた
13時00分：下山開始
|
下山する頃から大台の上空を旋回するヘリコプターの 爆音が響き始めた
『しつこく周ってるよな、何か事故でもあったか？ あ。もしかして遭難とか？』 『ひょっとしたら、私ら探してたりしてな？』
何の目的があって我が家をヘリで捜索するのだ？
|
|
|
|
とか何とか行ってるうちに如来月ピーク 辺りから踏み跡を外してしまう
この辺りはよく迷うらしいが、何と言っても ドライブウェイがすぐそこだ 引き返すほどのことでもない
『ほら。やっぱ、私ら探してるんちゃう？ヘリ？』
汗をかきながら下る私たちの前を小鹿が跳ねる お尻も真っ白、ちっちゃな身体がピョンピョンだ 春に新たな命が産み落とされたのだろうか |
別の踏み跡に従うとやはりドライブウェイ方向に下っている。みんな考えることは同じのようだ
下った所は川上辻からカーブ二つほど下った所だ。
とぼとぼ道路を歩きながら車に戻り、駐車場のトイレを目指すと、午前中と変わらない混雑だ
きっと、あのヘリコプターは撮影のものだろうな
＊後日録画した映像を見ると大蛇嵓を空撮していた
『今日もやっぱワイルドな時間あったなぁ？』
『その方が面白いぞっ・・・』
名古屋岳
