下山時は薄曇り、昨日登って来たルートを下るだけだが、下るにつれ寂しさが募る

『スロトレさーん、なーんか鼻のところだけメチャ赤いしぃーっ！』　

『ほんまやーっお父ちゃん、どーすんのんそれ、ひっどいでー』

きっと歩いてる間も飽きもせず山を見上げてばかりいたせいだろう、確かに私だけ日に焼けている

いいじゃないか日焼けくらい！こんな素敵な山、一瞬でも見逃したくはないぞ

 やっと三角点まで下る。ここが遥か薬師岳を見上げる最後のポイントだ

60歳くらいだろうか、単独の女性が自分の身体よりも大きそうなザックを背に我々の後に降りて来た

女性は休憩もそこそこに薬師岳を振り返り、そして薬師に向かって深々と一礼すると

まるで想いを断ち切るかのように颯爽と下山した・・・

その姿に何故か一瞬胸が熱くなった

小雨、ガス、晴天、雪渓、花、鳥　・・・アルプスの素晴らしさを2日間に凝縮してくれた山

ありがとう薬師岳！