山

台高山系・明神平

山行きの日

2009年03月15日（日）

目的

最後の霧氷を歩く

コース

駐車場(08:40)−明神平(11:00−12:00)

前山(12:15−13:00)−駐車場(14:50)

メンバー

夫婦

 

２ヶ月ぶりに山に行くと言い出す鬼ヨメ、と同時にML仲間から大峰へ行こうとのお誘い

さぁ困った･･･

『あのな、いつものメンバーにな、大峰誘われてん』　『ふ〜ん』

いつもなら、『誘ってもろたんなら行っておいでやぁ』となるのだが･･･行く気満々だな？仕方ない

『んじゃ、天和山行こか、明日なら冠雪の大峰が見えるぞ』　『明日は明神平やで（きっぱり）』

うっ、行き先まで決められてるじゃないか、こうなるとテコでも動かないのが鬼ヨメ

『もう今年４回も行ってるねんけどなぁ』　『お父ちゃんだけやろ？楽しそうにソリやら宴会やら。なっ？』

はぁはぁ、そうですか、ソリしたいですか、はいはい、しましょうソリ、しますともソリ

あ、今年はソリ買って明神平で滑ろう！なんて約束してたな･･･やばっ！ソリ無いしっ

 

 

大急ぎで近所の大型スポーツ店に弊店間際に駆け込むと、ヒップソリは見当たらない

やばやばっ！

『ヒ、ヒップソリありませんか？こーんな薄っい、ペラペラのソリ！』

鬼気迫る表情のオヤジに言い寄られた若い女性店員は奥の方から恐る恐るソリを持ってくる

『これ・・・でしたら？』　『それそれそれーっ、ありがとーっ！助かったぁあ〜♪』

ソリ一つに小躍りして喜ぶオヤジを気持ち悪がる店員と目が合って悲しかった

 

 

大又林道から見える薊岳はきっちり冠雪、金曜日から、今年最後になるであろう

雪が降り積もっていたのだ、あぁこんなコンディションで大峰歩きたかったなぁ

心の中でブツブツ言いながら林道を進むと早くも凍結だ

そして林道の周辺にも霧氷が残る、昨晩も雪は結構降ったようだ

 

 

『お父ちゃん？こんな林道初めてやわー、上に行ったらどんなコトなってんやろ？』

ふむふむ、確かに見上げると裾野の方までみっちり霧氷だ

そして何よりも空が真っ青じゃないか、これは今日は素晴らしい明神平かもしれないな

 

 

林道終点から登山口へ向かうタイミングで　『お父ちゃんアイゼン着けるわ』

はいはい、早めに着けて下さいな、大阪方向の展望を見るフリしてそっと振り返る

『前は着けてくれてたのにな･･･ブツブツ･･･なんや右左分からんし･･･ブツブツ･･･はぁ手冷たぁ･･･』

鬼ヨメよ、2009年は甘やかさないのだ（心の中で呟く）

 

 

鬼ヨメが昨年末にすっ転んだ滝下は凍るどころかしっかり積雪

滝の周囲もあまり凍っていない、雪融けのせいだろう水量が多いな

 

 

滝の上を通っていると、なにやら可愛らしい声が二人の周りに

『あ、お父ちゃん小鳥やで！なんやろ？ずっとウチらの周り飛んでるわ♪』

春の訪れを喜んでいるかのような声が我が家を追いかけていた

 

 

キケン箇所を過ぎると青空が近づいて来る、風も無くポカポカ陽気

 

 

『ひゃーっ！こんなキレイな霧氷初めてやーっ！』

うーんん、これが大峰だったら、もっと凄い景色が･･･あ〜ぁ、って諦めが悪いか（笑

 

 

『前山のショートカット、行くか？霧氷キレイやぞきっと』

『いや、あの水場過ぎてからやった？霧氷のトンネルあるやん？あそこ歩きたいわ』

ほう、鬼ヨメもさすがに明神平だけはポイントを押さえてるんだな

 

 

霧氷の小径

最後の雪はこんなにも登山道を輝かせてくれる

 

 

空の青、雪の白、二色の輝きが目に痛いほどだ

ふーむ、大峰でなくても良かったかな（まだ言うかって）

 

 

『あ、ちょっと振り返ってみろ、国見の方の霧氷･･･すごいぞ！』

風の加減だろうか、冠雪した部分と薄い霧氷のコントラストが素晴らしい

『ひゃーっ！こんなキレイな霧氷初めてやーっ！』

･･･さっきも言ったぞ、でもこの一瞬のコントラストは美しい

 

 

薊岳は流れる雲がピークを見せてはくれない

誰も居ない登山道を二人、展望の美しさにため息をつきながら歩く

 

 

明神平に着くと、あしび山荘も青空に輝いていた

『サクッと前山まで行くか？』

桧塚からヒキウスを見下ろしたいと思い鬼ヨメを少しで歩かせようとしたが

『あかんって、ごはんごはん、もーお腹鳴ってるし』

はぁ･･･今日はあきらめるか

 

 

天理大小屋の裏に周り、この素晴らしい霧氷林を眺めながらランチの用意

『早ょおゴハンしてー！』

大声出すなって（涙

 

 

エビと鶏肉の卵とじにゅうめん、二人で分け合う缶ビール

霧氷林をおかずに最高のランチタイムだ

『あイタタターっ！お父ちゃん霧氷落ちて来て痛いしっ（怒）』

うるさいなぁもう、お前の声に霧氷が震えてもっと落ちてきてるぞ

 

 

ランチタイムの後は前山でソリだ、誰も居ないゲレンデに向かって歩く

トレースを着けるのがもったいないほどだ

 

 

こんな素晴らしい日に他の登山者はどこへ行ってるんだろう

ゲレンデには大きなカメラを持ったご夫婦一組だけだ

 

 

『さぁヒップソリ始めるぞー！、金メダリストが教えてやるからな〜』

ところが新雪はフカフカ過ぎて滑らない、仕方ないので私がラッセル往復して圧雪する

ってか、たかがソリで何でこんなに苦労しなければならないのだ？

今頃山友たちは大峰で･･･はぁ〜

『準備できたぞーっ！ソリはじめーっ！（半分ヤケぎみ）』

 

 

『ひゃーっ恐いぃぃぃー！』　『ちゃうちゃう！そんな恐がったらアカン』

『ほな、どーしたらエエのよ〜』

 

 

『こーやって、足を思いっきり上げてやなぁ！』　『ひーっ』

『お父ちゃん？どこが金メダリストやの･･･』

 

 

『お、なかなか上手くなってきたぞー！』　『お父ちゃん、おもろいわ〜』

誰も居ないゲレンデでいいトシぶら下げた夫婦の嬌声

 

 

ふと二人目が合うと、そのおサブい状況に苦笑い、そして大笑い

気が付くとゲレンデには、陽気に落ちかけた霧氷と粉雪が風に舞い始めていた

 

 

『はぁ〜お父ちゃん、もうエエわ、疲れたしぃ』　『今日はこのくらいでカンベンしたろか』

 

 

『その縦走路回って、大峰見ながら下ろうか』

せめて遠くからでも雪の大峰を見たい

 

 

台高縦走は風に舞う霧氷で目を開けていられないほどだ

三月の忘れ雪が、はかなく風に舞う美しいシーン

うん、うん、今日は明神平に来て良かったかもしれないな

 

 

『あイタタターっ！お父ちゃん霧氷飛んで来て痛いしっ（怒）』

この、はかない美しさに怒るか？ムードも何も･･･とほほ

 

 

明神岩へ下りながら縦走路を振り返る

尾根はまるで誰かが作ったオブジェのような美しさ

 

 

相変わらず無人のゲレンデ、動くものは風に舞う霧氷と流れる雲だけ

 

 

下山のとき、やっと薊岳のピークが見えた

このまま帰るのはもったいないな

 

 

傾きかけた陽に霧氷トンネルは光と影のコントラストがくっきりと･･･

まるでどこまでも続くかのように錯覚してしまう

それでも水場を過ぎた辺りはほとんど融けていた

一瞬の魔法が解けたような

 

 

今年5回目となる明神平、あまりノリ気じゃなかったが

三月最後の忘れ雪は明神平を最高に美しい姿にして披露してくれた

来シーズンも変わらず素敵な雪化粧を見せて欲しいな

 

『お父ちゃん、来年は二人乗りのソリやんなぁ♪』

はいはい、二人乗りね、って誰が運ぶんだ？

はぁ

 

 

INDEX