蒼き竜の背を行く ・ 又剣山
台高山系・又剣山－竜口尾根
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2月の北八ヶ岳スノーハイク以来、まったく歩けていない日々 この私が、4週間山を歩いていないなんて･･･ 毎年、年度末からGWにかけて多忙なのは恒例だが、いくらなんでもなぁ と、クサっていたが、この週末はどうやら休めそうだ さて、どこへ遠征しようか？と久々の山への想いを熱くさせていた金曜日の夜 『高見山は真っ白です』 『大峰が白くなってるよ～』 山友から続けて２件のメール、週半ばから最後の寒の戻りと思える寒波が訪れたのだ そうか、春の嵐か･･･遠征も厳しいかもな さぁて
と、思いつきで出かけたのは昨年の同時期にも歩いた又剣山から竜口尾根のピストンだ 気の早い花見客の車、年度末の工事ラッシュによる重機で国道は混みまくり サンギリトンネルで、すでに９時前だ トンネル手前から望む大峰は例によって春霞、残念だけど、まぁこんなものかな
で、昨年同様、落石だらけの林道を何度も車を止めては石を避けて進む 昨年のようにアルキメデスの棒を使うほどの大きな岩はないが 小さく割れた岩の尖った破片がアスファルトに凍り付いてて中々離れてくれない つい1ヶ月前に中央道上でパンクしたトラウマが色濃く残っていて 神経質なほど何度も車を降りては岩を蹴って道を整備する
落石掃除のバイトに精を出して、さぁそろそろ登山口だったかなって頃には9時20分 えーっとクツは、いつもどっちから履いてたっけ？右ん？で、ゲィターが先？あれ？ あ、そか、一回パンツを脱いでからだった？んなワケないよなぁ って、おいおい、しっかりしようぜ ＞ 自分 5週間ぶりの装備に戸惑う哀れなヤマオトコ（涙
しっかし、いい天気なのになぁ、この霞みさえなければなぁ ま、5週間ぶりに歩けるのだ、贅沢は言ってられない こうして歩き出すと汗も気持ちよく、ときおり聞こえる鳥の声も新鮮だな なんて、らんらん♪喜んでると、ガッゴーンってな音と共に恐ろしいほどの岩が落ちて来た
ひぇーっ、ヤバイヤバイ、谷側を歩かないと、こんなの当ると死ぬぞ 時おりカラカラと小石が転がり落ちる林道を恐る恐る小走りで進んでると はい？ 登山口は？ってか、もうこれ林道ずいぶんと下ってるぞ？
どうやら落石掃除のバイトに気を取られすぎて 車を止めた場所は既に登山口を過ぎていたようだ ってことはアレか？まったく無意味なバイトしてたってことか？ その上、無意味にキケンな林道散歩してたってか？ って、おいおい、しっかりしようぜ ＞ 自分 林道をバックしてるうちに１時間ロス やれやれ。登山口は10時25分
危うく林道遭難未遂な自分を罵りながら登山口を見つけ進む ほんの25分で又剣のピーク 一年ぶりのピークは、相変わらず絶景だ ん、5週間ぶりとは思えないほど快調じゃないか
昨年は残雪で真っ白だったけど、昨日までの数日間の春の嵐は どこにもその跡が見えない 大峰も、もっと白いと期待したのだが
それでも大峰は、この大展望だ 素晴らしいじゃないか
何度目かのアップダウンを経て丸塚山から下るとき あぁ大台ヶ原ももう雪はほとんどないなぁ なんて気を取られてるうちに、下り斜面でモロに背中から落っこちてしまう って、おいおい、しっかりしようぜ ＞ 自分
ヒメシャラ群生の鞍部、東ノ川方向から大きな落石の音が連続して響く 凍ってた岩が融けはじめてるのだろうか と、何やらケモノ系の唸り声のようなモノが聞こえる ん？もう春だし、起き出す頃か？なんて言ってるバヤイじゃないし と、カラカラカラ～っと、唸り声の方向で落石の音 こ、これはナニモノかいるよな･･･、ほら、まだ唸ってるし、今日は鈴着けてないし 落ち着け ＞ 自分 逃げるな ＞ 自分 ここは、アレだ、歌だ、歌、唄うんだ！
『あっるっこぉ～あっるっこぉ～♪ボクらはぁ元気ぃ～♪』
シャリバテもあって、P1320手前の急登はヘロヘロなのに 何ゆえトトロの歌なのか分からないが大声で歌いながらズンズン登る
『あっるくのぉだいっすきぃ～♪ふふふふっふんふんふぅ～♪』 いや、だから、途中までしか知らないし、何でトトロなんだ ＞自分
ナニモノカの気配は小さな落石の音と共に谷底のほうへ消えていった ような気がする、いや消えたのだ、消えたことにしよう。 しかし、こんな時期のこのエリア、誰一人居ないことは確実だが もし登山者が居たらクマに遭遇するのと同じくらい怖いだろうな、トトロ唄うオヤジ
P1320からの大台ヶ原、あぁ2月にはあの大蛇嵓に立ってたんだ そう思いながら吸い寄せられるようにピークを下ってゆくと ちょっとしたグラ状のところ、大台のビューポイントを見つけた 中ノ滝、西ノ滝は両脇が凍ったまま雪融けの流れを落とす音が響き渡る
そして足元には東ノ川まで見下ろせる なんて素晴らしいビューポイントを発見したのだろう 空腹も忘れしばし魂を吸い取られていた
ピークに上り返してランチ こんな晴天、そして風もそんなに吹いてないのに ピークの空気は冷たく、春の嵐の名残を感じた
僅かではあるが、薄っすらと残雪の光る大峰も大台も望めた 5週間ぶりのヤマとしては充分だ と、悦に入ってる後姿 実はケモノの気配の鞍部を巻いて下山出来ないか悩んでるだけなのだが
ってことで、ピークから西へ斜面を少し下ると、意外にも林道は直下に見える こ、これ行ってみるか？ うーん、14時だもんなぁ、ここで行き止まったら取り返し付かないしなぁ･･･
『あっるくのぉだいっすきぃ～♪ふふふふっふんふんふぅ～♪』
谷底まで響けとばかり、トトロをがなりながら アップダウンを戻り返す 最後に又剣のピークから竜の背を見返す頃には喉も枯れ果てていた
竜の背、次は秋に来るぞ って、去年も言ったっけ
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