谷底へ激下る ・ 赤井谷
大峰山系・白嵓
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今シーズン初の沢歩きは、昨年ほとんど水が無く寂しかった赤井谷となった
登山口には家族連れも含め車は10台近くあった 予報は晴れだが、少し怪しい空模様の中歩き始める
いつものカーブ地点から谷へ下り始めるとD師匠が言う 『去年と同じじゃ面白ぉないやろ、ちょっと下流から登ろか？』 南下する廃道のようなルートを少し下ったことがある私も、その先には興味があった
が、ルートは途中からあって無いような様子、境界杭を頼りに尾根を外さないよう 苦労しながら下ると、途中には巨大岩や、大小のグラが点在し、早くも秘境ムード 巻きルートをロストし、引き返したりを繰り返しながら下り続ける
途中のグラからは正面に南奥駈、足元には滝川 小休止して二人でマップを覗き込み検討 南西に下りすぎると某施設があるし、様子の分からない沢歩きが長くなる 白嵓と記されたポイントから南南東へ下って入渓しようか？そうしましょう！ 二人で大まかなルートを決めるとずんずんゲキ下って行く
これだけゲキ下ってグラを巻くことが出来なかったら？ この尾根を登り返すしかないのか・・・そんな悪夢を思い浮かべながらもゲキ下る と、赤ペンキマークが目立ちはじめると予想よりも小さな白嵓だった
グラの上に恐る恐る立つと、南奥駈が近付いて望める このGWに私が汗をかいてアップダウンに苦しんでいた峰々 こうして望むと感慨深い
グラを巻くには、やはりゲキ下り 朽ちかけたハシゴ、フィクスロープを頼りにずんずんゲキ下る どう考えても西へと下っているのだが、東は崖やブッシュで下ることは出来ない こりゃ仕方ないな、下れるように下るしか無い
２．５時間ものゲキ下りの末、辿り着いたのは、ずいぶんと下流 それでも沢の様子は上流と変わりないようだ 沢沿いの遊歩道っぽい道から、さぁいよいよ入渓
しかし期待していた水は少なく・・・ これじゃ去年と同じでしたね なんて落胆ムードも、いざ歩き始めると楽しくなってくる
今シーズン初だ、楽しくないワケが無い
新緑の木漏れ日が沢を照らし せせらぎが、ゆらゆらと光る
そんな穏やかな流れが続くかと思えば、やはり大きな岩の群れも現われる
巨岩をわしわし乗り越えると、ちょっとしたナメ
青空は雲に隠れたり、現れたり そのたびに木漏れ日も揺れる
あまりにも水が少なく単調な岩越えが続く、このまま進むのもどうだろ？ ちょっと森も歩きましょうか
大峰とは思えない、静かな、そして穏やかな森 こんな深い深い谷底の森も、こうして新たに生まれ変わった緑が輝く
いつも立ち止まり、話しかけるネジレの樹、今日は会えないな この森は、また歩くことになるだろう、そのとき、ゆっくり会おう
トユとナメを少しだけ歩こうと、もう一度入渓するが そこは下流よりも水が少なく、すぐに撤退 もう、今日はいいでしょ
激下りで疲れきった足腰を引き摺りながら 古田の森直下辺りを目指して尾根を登り返す 途中、見上げた大日岳、これも、ここからでしか眺めない姿だ
思いもかけず激しい下りに、点在する巨岩とグラ そして初めて踏む白嵓からの南奥駈の展望 いくら歩いても底が見えない、そんな大峰の奥深さを今日も感じた
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