10時40分

3時間と20分で鏡平だ

雨上がりの山荘前は下山者と、今日登って来た人たちで賑わっている

生ビアとカレーをオーダー、カレーは手作りなのか家庭的な味

独りぼそぼそと食べてると、今登って来たばかりのおじさんが目の前に座り

熊のおどり場の手前で熊を目撃したと笑顔で話し始める

いやいや、笑ってるバヤイじゃないですから

『山荘の人にも伝えた方が良くないですか？』

私の一言で、山荘に入っていったおじさん

『伝えたけどねぇ、あぁ、そうですか、って云われただけですよ・・・』

そ、そんなモノなのか？

今日も鏡池には何も映らない

ってか、映るわけがないよな、こんなガスガスで

数分待っていたが、ムダだと思い降り始めたとき

『あ！』

カメラを手に陣取っていた単独さんが声を出す

振り返ると、一瞬だけ槍の穂先が見えた

そして、瞬く間にガスに消え去った槍を背に、トボトボと下って行った