山行きの日：2011年02月26日（土）−27日（日）
山：台高山系：大台ヶ原
目的：雪のテーブルランドを歩く
ルート：ドライブウェイ小処分岐（09:40)−大台ヶ原駐車場(15:15）
たたら亭(06:00）−日出ヶ岳(06:40)−たたら亭(07:50−09:40)−小処分岐（14:10)
メンバー：６名
昨シーズン、ある縁があって、冬季の大台ヶ原たたら亭にお世話になった
その時のお礼がてら、紅葉のたたら亭に挨拶に寄った際、お母さんに”また来ますね”と約束していた
そして山友とスケジュールを調整しながら、結局決まったのは数日前だ
昨シーズンは期待外れで、雪はほとんど無くて、ちょいと寂しかった、でも今シーズンは凄いぞ！
なんて期待も、前日の様子を聞いてがっくり、やはり急に暖かくなったおかげで、ずいぶん融けてしまったと
じゃ、スノーシューは、いらないよな、置いて行こう
ってなことで、小処温泉分岐のゲートまで車、そこから10キロのハイキングの開始
予想通り、ドライブウェイは乾いていて、残雪のカケラもない
そして、いつものように、青空に大峰が浮いている
いつも車で流してるだけの、このドライブウェイからの展望は、こんなにも美しい
と、ずっと飽きもせず右手の大峰山系を見ながら
そして久々の仲間と騒ぎながら歩くこと１時間
ふと気付くと足元には残雪が・・・、そりゃあるでしょ、少しくらいは
”お父ちゃん？どーでもエエけど、ぜーんぜん景色変われへんねんけど？”
鬼ヨメよ、こんなステキな景色、ずーっと観ながら歩けるって素晴らしと思わないか
大普賢、行者還、ちょいと離れて弥山、八経ヶ岳、明星に仏生嶽、そして釈迦ヶ岳まで
森のリカオさん夫妻が仲良く、指さしては山座同定している
ほら、大峰山系ぜーんぶ見えてる
もう、ここでこうして観てるだけで満足だ
”ほな、お父ちゃんだけここで泊まる？ツェルト持ってるねんやろ？”
鬼ヨメよ、お願いだから、こんなところに置いて行かないでくれ
と、ガヤガヤしながら歩いてると、どんどん足元が怪しくなってきた
どうやら、残雪が増えてきている、ってか、これはもう残雪じゃない
毎シーズン、最も積もる経ヶ峰辺りでは、クサった雪の斜面を踏み抜くと膝オーバーだ
”お父ちゃん？誰やのん、スノーシュー置いて行こか言うたんは（怒）”
はい、私です、判断誤りました、はい
悲鳴とも嬌声ともつかない大声が前後から響き渡る
一歩踏み出すたびに、今度は大丈夫だろうか？踏み抜くだろうか？
まるでゲームのように騒ぎながら、積雪で完全に元の姿が無くなったドライブウェイを行く
やっと三津河落山への取り付きまで辿り着く
昨シーズンは、ここから三津河落山へ駆け上がると、素晴らしい霧氷が迎えてくれたのだ
山友のおやじさんは、霧氷は無いけど、この青空だと明神平まで望めるだろうから行きたいと言う
奥さまである、おかんさん、鬼ヨメは登る気なんて無いのに・・・
ってか、それを理由にする以前に、ツボ足で踏み抜き疲れた私はギブＵＰ
ほぼ5時間半かかって辿りついた大台ヶ原は、まだまだ青い空の下
もう完全に春だな
明日も天気は今ひとつな予報、今日の青空とスノーハイク、これで良しとしよう
たたら亭では、お母さんがいつもの笑顔で迎えてくれて、さっそく宴会の開始だ
さんざん飲んで食べて、いいカンジでほろ酔い、なのに部屋に引き揚げても鬼ヨメはロング缶２本を空ける
最後の１本は明日のランチ用にと隠しておいたのだが
駐車場へ星空を見に行ってる間に、寝る準備をしていた鬼ヨメに発見されたようで
目撃者のおかんさんいわく、”あらあら、こんなところに、おビールが〜”
満面の笑みで飲みほしたらしい、ったく油断も隙も無いヤツめ
翌朝は、日出ヶ岳までご来光目当てに歩き始める
展望台までもクサった雪の上を、ザクザク、ズコズコと踏みぬいてる間に汗をかいていた
海を望む頃、薄暗く曇った空からは、どうみても来光なんて期待できず、諦めて帰ろうとしたとき
一気に雲が風で流されて・・・
朝陽が覗いた瞬間、ハイになって雄たけびを上げていたおやじさんも黙り込んだ
なんとも幻想的な夜明けのシーンに、ただただ立ち尽くし
言葉も少なく、ゆっくりと昇り始めたお陽様を見上げていた
たたら亭に戻ると、まだ寝ていた鬼ヨメをたたき起し、朝ごはんを食べさせる
お母さんが言うには、午後から間違いなく雨が降る、それまでに経ヶ峰を越えなさいと
帰り際、新たな、たたら犬として元気な鳴き声を響かせている”フクちゃん”に挨拶
あの老犬ハチは昨年末、お母さんの膝の上で息を引き取ったそうだ
”ハチがいなくなると、大台ヶ原から降りる”以前、そんなことを、お母さんは言ってたけど
福が来ますように、と名付けられた甲斐犬フクが来てくれて嬉しそうだった
下山も青空が続き、午後からの雨なんてウソのように早春の空は輝く
足元は、前日よりも雪融けが進み、少しは歩きやすくなっていた
今日もまた大峰山系を望みながらのハイク、10キロなんて距離忘れてしまう
霧氷も、雪景色も無かったけれど
こんな青い空の下、そして季節外れの暖かさの中、二日間歩けて最高に楽しかった
初めは、長いドライブウェイ歩きに不安がっていた鬼ヨメも
”お父ちゃん、これやったら来年も来れるなぁ”と大満足
だが、なめてはいけない、こんなコンディションだからこそ歩けたのだ
2008年に初めてソロで歩いたときには、何度か途中でビバーグも考えたほどだ
それを思えばこの二日間は夢のようだ
本来、宿泊営業はしていない、たたら亭
ご縁があって、今シーズンもこうしてお世話になった
お陰でいつもの仲間と楽しいひと時、それも我々の貸し切りの大台ケ原だ
なんて贅沢な二日間だったろうか
たたら亭のお母さん、フクちゃん、また行くね、ありがとう
