厳冬の近畿最高峰・吹雪止まず！
大峰山系・八経ヶ岳
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昨年も参加した厳冬期大峰行、今年はなんと大峰の巨匠ことDOPPOさんが不在 成り行き上私が幹事役を仰せ付かり集まったメンバーは６名だ 天気予報では雨、なのに延期も不参加も声が上がらない そんな6人の冒険者たちは天川に集結した！
道の駅では小雨だったが、役場から出発する頃には雨も消える 幸先の良いスタートに笑顔だ この１週間の温度上昇と周囲の山の情報から弥山も雪が少ないと判断した 『雪も無さそうだし、ザイル置いて行きますね』 との声に幹事として同意し 非常用共同装備はツェルトだけにした･･･良かったのだろうか？
林道に出る頃には再び雨が落ち始めた、それでも気温は高く昨年のようなラッセルも不要だ
登山道に入ると雪が増え始める、そして我々はとんでもない過ちを犯してしまったのだ 栃尾辻までは軽いアップダウンのはずが、どんどん下り始める 昨年は歩いた記憶が無い痩せ尾根･･･朽ちた板を渡したキケンな箇所･･･うん？ 誰もがおかしいな？と思いながら下りきったところの案内を見て唖然とする
坪内へ向かって下山してるじゃないか！ どんかっちょさんがＧＰＳロガーで現在地を確認すると 突然目が覚めたＤ巨匠の愛弟子タンタンさん、下った尾根をガンガンと登り返す 着いてゆくメンバーは必死だ、そして気がつくと雨は吹雪に変わっていた 初っ端からの道誤り、そして悪天候、イヤなムードで登り返すメンバーに言葉は無い
どうにか登り返したところで、東に大きく回り込むところをスルーして直進したと判明 40分ものロスと天候悪化によるイヤなムードは、栃尾辻非難小屋のランチで消え去ったが 少人数でもちゃんと先陣と殿を決めないと･･･それは幹事の役割？反省だな
ランチ後は昨年同様スノーシューを着けて1518ピーク手前の東面に進む 我々は、この地が大峰で最も霧氷が美しいと教えて頂いた巨匠にちなんでDOPPO平と呼ぶ 初日のメインはモンスターの群れが怖いほど美しいこの地だったのだ しかし猛吹雪で何も見えない！
楽しみにしていた霧氷も吹雪きに飛ばされて、我々冒険者たちに叩き付けられる こうなると霧氷も憎く思えるな
初参加の単独行さん、この時点では止めておけば良かったと思ったことだろう 今年も紅一点の猛者RINさん、『こんなんフツーの吹雪や！』とへっちゃらだ
静かに眠る森は猛吹雪によって霧氷からモンスターへと変身して行く
リカオさんの全身を見て冒険者たちは自分も凍り始めていることに気付く 『スロトレさん？去年と同じ山とは思えませんね･･･』 違う、去年とは違う大峰だ
頂仙岳を巻くのか？ピークを踏むのか？タンタンさんを囲んで検討する 巻く＝キケンなトラバース ピークを踏む＝ヤブ漕ぎの下り どちらにしてもリスクはあるのだが、この吹雪を防ぐためにもトラバースしましょう！ いい加減吹雪きに嫌気がさしてそう進言したが・・・
夏道を探すが分からない、テープも消える、何故か下りすぎる･･･吹雪は止まない 時間と体力だけを消耗する登り返しの沈黙の間 ツェルト持って来て正解だったな、ザイル置いて来たのは失敗だったか そんなことばかり黙々と考えていた どうやら頂仙岳の取り付きだと思って巻き始めたところはP1598辺りだったようだ その事実に気付いたメンバーは安心感に苦笑いだが私は笑えなかった 雪山は経験なんて軽く吹き飛ばすのだ、それを目の当たりにした私は落ち込む一方だ
そんな私もトラバースを終えて明星岳との分岐まで辿り着いた頃には安堵で心から笑った もう狼平だ、小屋だ、ビールだ！ しかし大峰はそう簡単にビールを飲ませてはくれなかった
狼平へ下る谷の手前でも方向が分からなくなる、夏道のテープらしきものが谷を下るのだ 少しさ迷って磁石で方向を定め進んでいると 雪を踏み抜いたどんかっちょさんのワカンが抜けなくなって焦る RINさんがピッケルで雪を掘る姿はさながら遭難救助現場のようだ
『去年ボクもここで転倒して起き上がれなかったんですよね〜』 なんて言いながら下ってると私も踏み抜いてスノーシューが抜けない RINさんが慌ててピッケルで救助してくれるが、膝に何かコツコツ当たって痛い 『RINさん、何かめっちゃ痛いっ！？』 『あぁピッケルの先が当たってたか〜』 痛いハズだ（笑
もしこれが単独で、体力の限界に近づいた状況で踏み抜いた足が抜けないと･･･ あぁ吹雪よ止んでくれ！でないと私のモチベーションはここまで辿り着きながらも下がる一方だ
弥山川を渡る吊橋にも積雪だ、あきらかに昨年よりも雪は深い
狼平は風の通り道 吹雪を嫌がって急いで橋を渡るが、もう全身雪まみれ、ってかウェアは全て凍っている
あぁ今日の行程は終わったのだ 歩くたびにウェアの氷がバリバリ音をたてる
決して暖かくは無い小屋も冒険者たちにとってはオアシスだ
さぁ飲もう、語ろう、晴天に輝く八経ヶ岳を夢見て、束の間の睡眠を貪ろう！
しかし吹雪は一晩中止まなかった
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