そして、そのピークからなだらかに降ったところがＰ２２１０

あれこそ薬師見平だ

幻の廃道はあの裾野を横切っていたのだろうか？

こうして近くに見てると行けそうな気もするが、まずムリだろうな

行きたくても行けない、だからこそ行きたくなる、そんな場所が自分の中にあってもいいか

雄大な薬師を望みながら、いつの間にか足取りが重くなっていることに気付く

この暑さだ、気をつけなければバテるぞ

そう思っていたが、実はもう既にずいぶんとバテてる自分にあきれる

ザックにある水２Ｌ＋ポカリ２本を少しづつ、少しづつ口に含めながら進む

Ｐ２５７８が目の前に迫って来ると足元は岩稜となる

薬師見平を見てから何度目だろうか、岩の上で立ち止まり息を整えていると、上から後発の単独さんだ

『やけに遅いね〜なんか顔色悪くないか？水ちゃんと飲んでる？』

今日はピストンの後発の単独さん、心配顔で声を掛けてくる

そう言えば、追い抜かれたご夫妻はとっくにピークを越えてるようだ

あれ？やっぱ体調悪いのかな

『今日はちょっと暑すぎる、ゆっくり休み休み歩いたらいい、水晶までは気持ちのいい稜線だから』

大きな声で一言残すと、ワシワシと降って行く単独さんと分かれた

確かに暑いよな、水は飲めるけど、行動食は一口一口、イヤイヤ食べてる状態だし

こりゃ完全に暑さにやられてるぞ

やれやれ