90分で真砂岳分岐

これを北上すると野口五郎だ、時間的には充分ピストンできる

でも、決めていたのだ、野口五郎は、裏銀座縦横で歩くのだ

分岐を竹村新道に向かって右折する、トレイルは砂礫のトラバース

そしてやや南向きとなり、どんどん槍が近付いてくる

いいなぁ、この迫り来るカンジ

ほぼ120分で南真砂岳だ

先行者がいないってことは、小屋から降った組は皆さん野口五郎から烏帽子だな

うーんん、やはり野口五郎だけでも行くべきだったか？

と少し悔やみながら振り返った

さぁ、ここまで来たら降るしかないって

と、南真砂のピークから少し戻り北面の小さな雪渓に降りようとしたときだ

ガサガサガサ、バキバキバキ

なんだ？ハイマツが大きく音を立てて揺れてるぞ

はい？

あの黒い背中は・・・く・・ま・・！？

クマだ！

雪渓の上で呆けたように動けない私の１０Mほど先、黒い背中はハイマツを越え谷へ向かって消えて行った

慌ててクマ鈴を鳴らし、Wストックをカンカン打つ

『誰かいますかー？クマいましたー！クマですよー！』

私の前には誰も居ないのは分かってはいたが大声を出す

『そーなんです、そこですよー、そのハイマツから谷へ抜けて行ったんですよー！』

クマにも、私独りじゃないんだぞ！と思わせるため小芝居もしたり（ってか言葉分からないだろうけど）