カメラで撮れば良かったな、クマ

でも、やっぱり目の前にすると動けないもんだ

後ろを気にしながら、ときおり大声で 『 こんちはークマいましたよー 』 なんて小芝居も続けながら進む

単独ってことがクマに、バレないようにしなければ（だから、言葉分からないって）

南から沢の音が聞こえるな、とP2409から見下ろすと

足元には湯俣川の流れ、そして目の前に硫黄岳、その向こうは北鎌尾根から槍

なんて展望だ！

この硫黄の尾根の姿・・・まるで槍に呑まれたかのように足が動かない

しばし、動けずに佇んだ

P2409からの鞍部を軽く上り返した樹林の中、ひっそりと湯俣岳のピークがある

シラビソ越しに望む北鎌尾根は少しずつ遠くなって行く

さぁ、そろそろ主峰たちとお別れだ

トレイルは一気に下り始め、薄暗い森の中へと進む

日陰の森

なんて、そのまんまなネーミングの森を抜けると急に痩せ尾根だ

一瞬キケンな尾根から右手を見下ろすと湯俣川がごうごうと流れている

痩せ尾根が途切れると、槍見石展望台

確かに、足元には大きな石、岩があり、槍が望めるが、私としては

湯俣川の流れの色の方にココロを奪われる

09時30分、約５Hの竹村新道を終え、晴嵐荘に到着

やれやれ、これで独りの山旅が終わった

温泉場ならではの硫黄の香りのする山荘の軒先、無事下山を祝って缶ビールで乾杯

山荘前にはゆらゆらと陽炎

最後の最後まで暑い熱い３日間だった