08時30分

テン場から2時間40分で北穂ピーク

山荘テラスでは、あきれるほど澄み切った穂高ブルーに富士山が浮く

悪：『エエ天気やなぁ、このテラスで生ビア飲むとウマイんちゃうの？』

アクマが私の中で語りかける

天：『何てことを！これから大キレットだぞ？ビアなんて、とんでもない』

天使が私の中で怒ってる

悪：『アカン、アカン、このヒト、ほら。この緊張感のまんま休憩ナシで大キレット突っ込むで？』

天：『確かに、このヒトは、そんな行動パターンだな・・・』

悪：『せやさかい、ほら、生ビアをくいって飲ってやなぁ、30分ほど休憩して、リセットするんもアリちゃうのん？』

天：『ふむふむ。ま、それもアリか・・・いやいや、リセットとビアは関係無いのでは？』

あぁガンバレアクマ！

悪：『アンタもアタマ硬っいなぁ〜、このヒトがビア無しで休憩とかするヒトか？』

天：『・・・確かに、このヒト休憩させるには･･･。分かった、じゃ一杯だけ、って方向で』

私の海馬だか、前頭葉だかで会話は成立したようで

気が付くと槍を前にジョッキを持っていた

ぷっふっわぁぁ〜

なんてウマイ生ビアだろう

ほんの二口で飲み干した生ビアの美味しさが

2009年の西穂高から奥穂高の縦走、ジャンダルム越え以来の緊張感を癒してくれる

テラスから目の前広がるステージを睨みながら、つかの間の休息

これから始まる大キレット縦走に荒ぶる想いを静かに諌める