17時20分、やっと玉置神社入り口

確か、ここから神社までも遠いはずだ、到着は18時か？

静まる杉の森に響くのは、自分の左足を引き摺る足音だけ

神社入り口には数組のテント、そういえば私を抜いていった二組は、ここでテン泊だった

でも立ち寄って声を掛ける元気も残っていない

パワースポットと知られる、この聖地に来ると、その神聖さを感じることが出来るだろうか

出発前にそんなことを想っていた自分を笑いたくなるほど今は余裕が無い

夕陽に照らされる大鳥居を抜け、杉の巨木を眺めながら

凛とした空気の中、独り歩いてると不思議な気持ちになって来る

今、自分は本当に玉置神社を歩いてるのだろうか？

実は、この先にもアップダウンが待ってるのではないだろうか？

それは、ここまで痛めた膝をカバーしながら歩いて来た疲労からの錯覚

そう分かってはいるが、まだ信じられない

陽は落ちきっては無いが、森の中の参道は、すでに暗闇

神代杉の向こう、もう本殿らしき鳥居が見えているのに、私の足は立ち止まる

自分の足を引き摺る音が、聖なる静けさを邪魔してるかのような気がする

脚が、膝が動かない

日本最古の神社、国常立尊は私を迎えててはくれないのか？

一歩、また一歩、まるでこの神社が奥駈縦走のゴールかのように歩く

鳥居横にある清めの水で、もう一度脚を止め、手を顔を清め口を濯ぐ

最後に、柄杓から頭に水を掛けると、聖なる冷気に一気に包まれ全身が震えた